中古マンション売却に必要な減価償却の考え方と計算方法

中古マンションを売却するには譲渡所得税がかかります。その譲渡所得税は、減価償却を適用することで節税できるのです。少しでも納税額を減らすためには、減価償却について正しく理解する必要があります。しかし減価償却は素人には馴染みが薄く、計算方法も難しいので敬遠しがちです。

このような苦手意識を解消するために減価償却の概要とともに、実例を出してその計算方法も解説します。

中古マンションの売却に必要になる仲介手数料を節約しよう

減価償却と譲渡所得税の関係

中古マンションを売却するときには、「減価償却」や「譲渡所得税」という言葉を耳にすることがあります。減価償却とは、高額な不動産などの購入代金を、その年の経費として一括で計上するのではなく、1年ずつ分割して計上することを指します。

また譲渡所得税とは、不動産などを売却した際に出た売却益にかかる税金のことです。不動産は経年劣化するものだと考えられているため減価償却が適用され、それを売却益から差し引くことで、譲渡所得税を節税できます。

中古マンションの売却時には譲渡所得税が必ず発生するか?

中古マンションに限らず、基本的に不動産を売却するときには譲渡所得税が発生します。譲渡所得税は、不動産など高額な物を売却したときの所得金額に応じて納税額が決まるものです。例えば会社員であれば給与に対して所得税を納めることになりますが、それとは別扱いの税金だと考えてください。

ちなみにこの譲渡所得税について、実は課税されないパターンが存在します。譲渡所得がマイナスになった場合には、譲渡所得税は発生しないのです。

譲渡所得税額の算出方法

譲渡所得税の納付額は、譲渡所得金額に税率を掛けて算出できます。そしてこの税率は一定ではありません。対象となる不動産によって変動する特徴があるのです。具体的には不動産の所有期間や用途によって決定します。特に所有期間は短期と長期の2パターンに分けられ、その境目は、譲渡年の1月1日を基準としたときに所有期間が5年以下か、または5年を超えて所有しているかどうかです。

前者の短期の場合は39.63%、後者の長期の場合は20.32%と税率が定められています。つまり長期の譲渡所得税の方が低い税率だとわかるでしょう。税率が低いほど収める税金の額も少なくて済むのです。

譲渡所得の考え方

例えば一般的な事業者は収入金額すべてが課税対象の所得とは考えません。収入金額から仕入れ金額や交通費などの必要経費を差し引いた残りが所得金額として課税対象となるのです。不動産を売却した際も同様に、売却金額がそのまま課税対象にはなりません。

売却金額から必要経費を差し引くことができるのです。ここでいう必要経費とは、具体的には譲渡費用(売却時に仲介業者へ支払った手数料や印紙代など)と取得費(対象の不動産を取得したときにかかった購入代金など)のことを指します。

つまり中古マンションを売却して得た利益から「譲渡費用」と「取得費」を差し引いた金額が課税対象となるのです。このとき注意したいのが、取得費に該当する不動産の購入金額は、購入当時の金額ではないということです。

現時点での不動産の価値として評価されます。ではどうやって現時点の不動産価値を算出するのかというと、「減価償却」という計算方法を使うのです。

減価償却

中古マンションなど不動産が完成してからの年数に応じて価値を算出する方法が「減価償却」です。一般的に不動産は完成した瞬間が価値のピークであり、経年劣化等によって徐々にその価値が下がっていくと考えられています。

中古マンションの他にも工場の機械や自動車なども徐々に価値が減っていくと考えられていることから減価償却が適用されるのです。毎年少しずつ経費として減価償却費を計上することで、節税につなげることが出来ます。ちなみに減価償却は、企業会計法で定められている一般的な会計手続きのひとつです。

減価償却の対象は?

基本的に減価償却の対象は、事業資産ですが、個人の所有する中古マンションも例外的に対象となります。しかしその対象は上モノといわれる建物部分だけであり、土地は対象外なので注意してください。なぜ土地が対象にならないかと言うと、年数が経っても価値を失わないと考えられているからです。

中古マンションの減価償却費の計算式

中古マンションの減価償却費の計算方法は、定額法と定率法の2つがあります。ただし中古マンションを平成28年4月1日以降に取得していると、定額法が適用されるのが一般的です。定額法には、毎年同じ金額を減価償却していく特徴があります。

具体的な減価償却費の計算式は「建物の購入金額×償却率×経過した年数×0.9」となるのです。

減価償却費の計算式「建物の購入金額」とは?

「建物の購入金額」は、そのままズバリの意味ですがひとつだけ注意点があります。それは先述したとおり土地の代金は含まないということです。一般的にマンションを購入する際には建物部分と土地部分の合算金額で認識しているケースが多いですが、減価償却費を計算するときには土地部分を差し引いた金額で計算する必要があります。

減価償却費の計算式「償却率」とは?

「償却率」は建物の耐用年数によって異なる項目です。その耐用年数は、建物の作りや用途などによって定められています。すなわち、売却する中古マンションの償却率を知るには、耐用年数を調べることから始めなければならないのです。

法定耐用年数は、木造や鉄骨などの建物構造によって違うもの。例えば「鉄骨鉄筋コンクリート造・鉄筋コンクリート造のもの」の建物の場合、法定耐用年数は47年です。これを基準に築10年のマンションの売却時の耐用年数を算出するには、「47年-10年×0.8」という計算式を用いて「39年」という数字を導き出す必要があります。

さらに耐用年数39年に該当する定額法償却率は「0.026」だと突き止めるのです。ちなみに償却率表は国税庁のホームページなどで調べることができます。


減価償却費の計算式「経過した年数」とは?

「経過した年数」は、建物を購入してからの年数のことです。建物が建ってからの年数ではないので注意してください。また経過した年数を数える際には、月数は切り上げて考えなければなりません。例えば9年1ヶ月が経過していた場合、経過した年数は「10年」と考えるのです。

具体的な減価償却の計算例

最後に具体的な減価償却の計算例を紹介します。

例えば「物件の購入費用が4,000万円」「経過した年数が10年」「建物の構造は鉄筋コンクリート」「譲渡価格1,500万円」のケースです。

まず償却率を導き出すために「法定耐用年数47年-築年数10年×0.8」を計算して耐用年数が39年だと算出します。この場合の定額法償却率は「0.026」です。この数字を減価償却費の公式に当てはめると「4,000万円×0.026×10×0.9」となり減価償却費は「936万円」だと算出できます。